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どこを崩せば”カジュアル”になる?

生活を彩る“ハレ”と“ケ”

“ケの日”ってご存知ですか?

漢字で書くと“褻”と書きます。
常用漢字ではありませんので馴染みのない方もいらっしゃるかも知れません。
なかなか難しい漢字ですね。

質問を変えましょう。

“ハレの日”はご存知ですか?

そうです。
“晴れ”という漢字からも分かる通り、結婚式や発表会、表彰式など特別な日のこと。

人生の節目を“晴れ舞台”と呼ぶことも多いので、
馴染みのある言葉ですね。

“ハレ”と“ケ”はセットです。
と言っても対義語ではありません。

 “ケの日”は“普通の日”のことを指しています。
何気ない日常です。

普通の日に名前を付ける、という考え方がいかにも日本らしいと思いませんか?
日常があるからこそ、おめでたいハレの日が引き立つということでしょう。

代表的な“ハレの日”といえば結婚式やお正月があります。
花嫁衣装や紋付の着物といった特別な衣装を纏う日。

“ケの日”はそれ以外のほぼ毎日ですから、
文字通り普段着を身に着けています。
日々の生活の中で“衣”がどんな意味合いをもっているのかが垣間見えますね。

ハレの日の衣装は、いわゆるフォーマル・ウェア。
普段は着ない特別な衣装、つまりは正装です。
身につけると背筋が伸び誰しもが“余所行き”の顔になります。

対してケの日に着用するのは普段着、言い換えればカジュアル・ウェア。
着心地が良く動きやすい、そしてお手入れしやすいことが求められます。

つまりハレの日とケの日では身にまとうモノが全く違っています。

普段の日に晴れ着を着ていたのでは、動きにくく緊張してとても疲れてしまいます。
また周りにも奇妙な印象を与えることでしょう。
逆にハレの日に普段着では様になりません。

このように生活のメリハリと衣装は深く関わっているのです。

フォーマルとカジュアルを分けるもの

ところで普段着と晴れ着。
つまりカジュアルとフォーマルの違いは何処にあると思われますか?

簡単にいうと3つの要素が挙げられます。

素材、色(柄)、そしてデザインです。

これらの要素がどのように組み合わされるかによって、
フォーマル度が高まったり、逆にカジュアル度が高まったりします。

白か黒で明確に分けられるものではありません。
微妙な配分を変えることでファッションを楽しむ幅が広がるというわけです。
ぜひそれぞれの持つ意味を知ってあなたなりの工夫で楽しんでみましょう。

着心地を左右する“素材” マテリアル

衣類の素材は様々です。

絹・綿・麻・毛などの天然繊維から
レーヨン・キュプラといった化学繊維、そしてポリエステル・ナイロン・アクリルといった合成繊維まで。


実に多くの種類が存在しています。
それぞれの繊維の特長を活かして衣類は作られています。

当然、価格にも差があり高額なものはフォーマルに、低価格なものほどカジュアルに使われます。
ただ価格とは別にとても重要な要素が着心地です。

保温性・放熱性・防水性・吸水性・肌触り。
着用した際の感覚に応じて選ぶことで生活そのものへ影響を与えてくれます。

フォーマル・ウェアで最も好まれるのは“絹”(シルク)です。
中国発祥の生地がヨーロッパへと伝わったことは言うまでもありません。

“シルク・ロード”。
文字通り絹の道が大陸を横断したことからも、古来から珍重されていたことが分かりますね。

色(柄)の多様性

赤・青・黄・白・黒・緑。
様々な色があふれています。
実は人間の目が識別できる色数は、個人差がありますが大凡100万色と言われています。

特に日本人は古来から色に対しても非常に敏感で繊細な感覚をもってきました。
「墨・呂・漆黒(しっこく)・黒橡(くろつるばみ)・檳榔子黒(びんろうじぐろ)」
これらは全て“黒・Black”の名称です。

微妙に色合いが変化して、美しくさえあります。
フォーマルとして扱われる “黒”も日本人にとっては一色ではなく、
選択肢があるということですね。

主張するデザイン、フォルム

洋服は着物と違ってデザインの多様性が魅力です。

多くのデザイナーがより“新しい”デザインを生み出すことを競っています。
その中で比較的保守的なものが“フォーマル・ウエア”です。
いくつかの守るべき要素があるためかも知れません。

例えばフォーマルな服装はできるだけ、
肌を見せないことが求められます。

奇抜すぎるデザインではTPOにそぐわない場合がありますから注意が必要。
その点、カジュアル・ウェアは制約が殆どありません。
自由に“着たい服を着る”ことができます。
フォーマルとカジュアル、これもまた“メリハリ”の楽しみ方なのでしょう。

カジュアルの定義 どこを崩すと良いの?

素材・色・デザイン、それぞれの要素をどう砕けさせるかは個人の選択です。
シルク&黒であっても、デザイン次第でカジュアルでしょうし、
スーツであってもポップな柄であればかなり砕けた印象になります。

ただ個人的には“カジュアル”への最短距離は“素材”だと思っています。
黒色でデザインが保守的であったとしても、もし素材が綿ジャージだったら、どうでしょう?

柔らかく、伸縮性があり、着心地の良い一着になるはずです。
もちろん、コットンジャージを使用したフォーマルウェアもないわけではありませんが、
正式な場ではやはり役不足かも知れません。

ココ・シャネルがジャージーをファッションに取り入れたのは1916年のこと。女性たちを“窮屈なスタイル”から解放した先駆者です。

カジュアルとフォーマル。

その違いは実は“着心地”にあるのかも知れません。